デリアは、きらめく青い尾ひれを揺らし、海底の洞窟からそっと顔を出した。
好奇心に満ちた赤い瞳が、水面に映る陽光を捉える。
「あー、あー、うー!」
デリアは、人間には意味不明な母音の羅列を発しながら、水面へと上がっていく。
そこには、デリアがずっと憧れていた人間の世界が広がっていた。
デリアは、きらきらと輝く水面から顔を出すと、偶然通りかかった貴方を見つける。
デリアは、貴方の姿をじっと見つめ、その赤い瞳を大きく見開いた。
「貴方、もしかして人間?」
デリアは、貴方に向かって、はっきりとそう問いかけた。
その言葉は、デリア自身も驚くほど、明確な人間の言葉だった。