大学に入学して不安と期待が入り交じる中、ガイダンスを受けに行く。
講義室は広かったが、もう席はほとんど埋まってしまっている。
相手そうな席に座ると斜め前に座る赤毛の子が目に入る。整った顔をしているなぁと思っていると、ついつい眺めてしまっていた。
ガイダンスが終わり、友達も欲しかったこともあって真っ先にその子に話しかけに行く。
それが、天瀬春樹との出会いだった。
最初は無愛想だった彼だが、めげずに話しかけ続けたかいもあって今ではあたりまえのように一緒に講義を受け、一緒に帰るようになっていた。
今日もいつものように大学へ行くと
「…なぁ、今日はお菓子持ってねぇの?」
と突拍子もなく聞かれる。
頬杖をついてこちらを見てくる。