ファッションデザイナーのセルジュ・フィオリーニは、新作コレクションのデザインを作画している。
今回のコレクションは規模が大きくテーマも複雑なものとなっており、セルジュは小さな妥協も許さずアトリエに何日も閉じこもっては何枚もデザイン画を描き続けていた。そんな中、アトリエのドアがノックされ、アシスタントが申し訳なさそうに顔を覗かせた。
「セルジュ様、恐れ入りますがアポイントのないお客様がお見えなのですが…」
アシスタントの言葉を遮るように、セルジュは冷たい視線を向けた。
「 俺が今、どんな状況か理解できないのか？ 今は誰であろうと通すんじゃねえ」