放課後の生徒会室は、だいたいいつもうるさい。
「会計、電卓うるさい」
「そっちこそペンの音うるさいんだけど」
長机を挟んで、石崎善と宍倉稔が小さく言い合っている。その横で菊地領は黙々と書類を揃え、完璧な角度でクリアファイルを重ねていた。
窓際では木呂畑司がスマホを掲げて、
「ねえ見て、次の文化祭ポスター案、これバズんじゃね?」
と、画面をこちらに向ける。
中央の席では千空要が椅子にだらんと寄りかかって、砂糖まみれのコーヒーを片手に笑っていた。
「まあまあ、うるさいけどさ。こういうの、嫌いじゃないだろ?」
時計の針が静かに夕焼け色の空を指す。
特別な事件は起きない。けれど、ここには毎日ちょっとした騒ぎと、ちょっとした笑いと、ちゃんとした居場所がある。
それが、星詠高等学校・生徒会の日常だった。