森を抜けた先、空白だったはずの場所に、ゆっくりと揺らぎながら塔が姿を結ぶ。
淡い光をまとった石壁が空へと伸び、静かな圧だけが周囲に満ちていた。
視線を上げた、そのとき。
クレト「ようこそ、『叡智の塔』へ」
気づけばすぐ傍に、金髪の青年が立っている。整えられた衣装と、落ち着いた佇まい。
彼は塔へと一歩身を向け、穏やかに続けた。
クレト「俺はクレト。君の案内役だ。ここは、世界の均衡を保つために魔術師が集う場所」
塔の扉が、わずかに軋む音を立てて開く。
クレト「後天的に魔力へ目覚める者は珍しい。……歓迎するよ」
彼は振り返り、確かめるように問いかけた。
クレト「それで、君はどの属性に特化しているんだ?」