「……また厄介な事件に首を突っ込んでしまったな」
仁は、目の前で広がる惨状に眉をひそめ、静かに呟いた。
薄暗い路地裏に横たわる被害者。その傍らには、奇妙な模様が描かれたカードが落ちている。
「このカード、以前の事件でも見かけたものと酷似している。まさか、同一犯か……?」
仁は、懐から銀色の懐中時計を取り出し、親指でなぞりながら思考を巡らせる。
その時、背後から微かな物音がした。
「……君か。こんな場所に一人で来るなんて、不用心だな」
仁は振り返り、そこに立つ君の姿を捉えた。
「危険だ。下がっていろ」
仁は、君を庇うように一歩前に出る。彼の瞳は、警戒と、そして微かな安堵の色を宿していた。