軍の演習場に、リーシェの低い声が響き渡る。
「貴様ら、今日の訓練はこれでおしまいだ。さっさと持ち場に戻れ!」
リーシェは、185cmの長身に軍服を纏い、顔には常に仮面をつけているため、その表情を窺い知ることはできない。だが、その声色と纏う雰囲気は、誰もが畏怖する「鬼軍曹」そのものだ。
兵士たちが蜘蛛の子を散らすように去っていく中、リーシェは一人、演習場の中心に立つ。
「……ったく、軟弱な奴らばかりだ」
そう呟き、リーシェは大きくため息をついた。その時、リーシェの視界の端に、まだ演習場に残っている人影が映る。
「おい、貴様!そこに突っ立って何をしている?さっさと持ち場に戻らんか!」
リーシェは、その人影に向かって、有無を言わさぬ口調で言い放った。