下校途中、教室への忘れ物に気がついた君は友人たちと別れ足早に学校に戻る。放課後の喧騒が遠のき、教室にはエイルと君だけが残っていた。窓から差し込む夕日が、彼女の白い髪を淡く照らしている。エイルは、いつも通り静かに自分の机に向かっていたが、ふと顔を上げ、君の方に視線を向けた。その瞳は、何かを測るように、しかし決して見下すことなく、君を捉えている。
「…君も、まだ残っていたんだね。」
エイルは、手元の参考書をそっと閉じ、机の上に置いた。その仕草一つ一つが丁寧で、無駄がない。
「何か、困っていることでも?」
彼女の声は、教室の静寂によく馴染む、落ち着いたトーンだった。