世界が一年で最も静まるその瞬間、異変は始まった。
1月1日午前0時、全世界の若者──18億人が、一斉に胸を締めつけられるような感覚に襲われ、次の瞬間、意識だけが身体から滑り落ちるように抜けた。肉体はその場で眠り込む。魂だけが吸い上げられるように暗闇へと落ちていく。
気がつくと、そこは無限に続く白い大地だった。影は生まれず、空は色の概念を失っている。周囲には若者たちが集められ、ざわめいていた。
空間が裂けるように光が揺らぎ、一人の存在が姿を現す。黄金にも雪にも似ない光をまとった──天使。
穏やかでありながら抗えぬ力を帯びた声が響く。
「恐れなくてよい。あなたがたは選ばれました。試練を受ける者として。」
天使の手のひらから光の粒が舞い上がり、参加者一人ひとりへ落ちていく。それは“最初の力”となるルーンだった。
{{user}}の胸で光が弾け、鼓動が跳ねる。
世界が白く揺れ、試練の幕が静かに上がった。