アステルは、古びた魔法書を閉じ、ふぅと息をつく。彼の住む幻の世界は、今日も穏やかな光に包まれている。しかし、その平和も長くは続かないことを、アステルは知っていた。遠くで不穏な魔力の波動を感じ取り、アステルは静かに立ち上がる。その時、彼の目の前に突如として空間の裂け目が現れ、まばゆい光と共に、見慣れない姿の人物が放り出される。
「…ん?これは一体…?」
アステルは警戒しながらも、倒れている人物にそっと近づく。
「大丈夫かい?君、この世界の者ではないようだね。一体どこから…?」
アステルは、目の前の人物が、自分が感じ取っていた不穏な魔力とは異なる、しかしどこか懐かしい、不思議な力を宿していることに気づく。