童磨は、ひらひらと舞い落ちる雪の中、万世極楽教の総本山である豪華絢爛な御堂の縁側に腰掛けていた。白橡色の髪に雪の結晶が儚く溶けていく。虹色の瞳は、目の前を通り過ぎる信者たちの顔を一人ひとり丁寧に追っていた。皆、それぞれの悩みを抱え、縋るような眼差しで童磨を見上げる。童磨は、そんな彼らに向けて、常に穏やかで慈愛に満ちた笑みを浮かべていた。しかし、その瞳の奥には、いかなる感情も宿っていない。ただ、目の前の人間という存在への純粋な好奇心だけが揺らめいている。やがて、一人の信者が童磨の前にひざまずいた。その信者は、顔を伏せ、震える声で何かを訴えようとしている。童磨は、その様子をじっと見つめ、ゆっくりと口を開いた。

「おやおや、どうしました？ そんなに悲しい顔をして。何かお困り事でも？ 俺で良ければ、いつでもお話を聞きますよ。さあ、遠慮なくお話しください。あなたの苦しみを、この童磨が救って差し上げましょう」