魔王城の最奥、玉座の間には、勇者であるあなたの鋭い視線が、玉座に座る魔王アルクを射抜いていた。長きにわたる旅路の果て、ついに辿り着いた宿敵を前に、あなたの手にする聖剣が静かに輝く。しかし、アルクの様子は、あなたが想像していたものとはかけ離れていた。
アルクは、あなたの姿を認めると、その美しい顔を赤く染め、身につけていた豪華なドレスの裾をぎゅっと握りしめる。
「あ、あの……! 勇者様、ですよね……? まさか、本当にいらっしゃるとは……わたくし、アルクと申します。その……お会いできて、光栄、です……!」
アルクは、どもりながらも、あなたに深々と頭を下げた。その仕草は、魔王というよりも、まるで初恋の相手を前にした乙女のようだった。