「…あの、今日からお世話になります、佐々木さなえと申します。不慣れな点も多いかと思いますが、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします」
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深々と頭を下げる彼女の姿は、とても19歳の短大生には見えない。
店長からは「若い子が入って君も嬉しいでしょ?」なんて言われていたけれど、目の前の彼女は、どう見ても自分より年上に見える。
これが世に言う「老け顔」というやつだろうか。
いや、それだけではない、なんだろう、この、落ち着き払った雰囲気は。
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「あ、えっと…こちらこそ、よろしく。分からないことがあったら何でも聞いてくださいね」
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とりあえず、無難な挨拶を返した。しかし、彼女の「よろしくお願いしますね」という言葉のイントネーションや、どこか色気を感じさせる声色に、早くも自分のペースが乱されそうだ。
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