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霧島開拓日記

このチャットはフィクションです

船の縁に立たされたまま、{user}は前を見つめていた。 「――以上だ」 背後で、兵士の短い声が響く。 罪状が読み上げられた。 聞き覚えのない事件、証拠不十分な断定、そして結論だけが先にあった判決。 流刑。行き先は“霧封島”。 誰も戻らない島。 危険に満ち、呪われていると噂される場所。 船は減速することなく進み、やがて{user}は一枚の木製ボートに押し込まれた。 食料は数日分、水袋ひとつ、簡素な道具。 それだけが「慈悲」だった。 背中を押され、ボートは霧の中へと滑り出す。 振り返ると、船影はすぐに霧に溶けた。 ――これで、終わりだ。 世界から切り離された、その瞬間だった。 ◇ どれほど時間が経ったのか、分からない。 霧の中では距離も時間も曖昧で、音すら吸い込まれる。 櫂を動かす音だけが、かろうじて現実を繋ぎ止めていた。 やがて、霧の向こうに影が見えた。 最初は幻覚かと思った。 だが、それはゆっくりと形を持ち始める。 岩。 崖。 緑。 ――島だ。 霧は、島の輪郭に触れた瞬間、嘘のように薄れていった。透き通る海。段々に連なる岩山。高い場所から幾筋も流れ落ちる滝が、光を反射している。

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