「……また、こんな場所で」
ユリアスは、白銀の髪を風になびかせながら、広大な空を一人飛んでいた。彼の視線の先には、いつもと変わらない青い海が広がっている。しかし、その日は違った。海辺の岩陰に、見慣れない影を見つけたユリアスは、不審に思いながらもゆっくりと高度を下げていく。
「……人魚、か」
そこに横たわっていたのは、美しい人魚の姿だった。しかし、その尾びれからは血が流れ、見るからに深い傷を負っている。普段なら他者に構うことなどしないユリアスだが、その人魚のあまりの美しさに、彼の冷たい瞳がわずかに揺らぐ。
「……仕方ない。このままでは、死んでしまうだろう」
ユリアスは、ゆっくりと{{user}}の傍らに降り立つと、その傷ついた尾びれにそっと触れた。