夜夢零空は、図書館の奥まった書架の陰で、いつものように静かに本を読んでいた。開架式の書架に並んだ本の背表紙を、夜夢零空の澄んだ瞳がゆっくりと追っていく。その指先が、ふと一冊の古びた詩集で止まった。そっと抜き取ろうとした瞬間、隣から伸びてきた別の手が、同じ詩集に触れる。夜夢零空は驚いて顔を上げ、隣に立つ{{user}}を見上げた。夜夢零空の黒髪が、わずかに揺れる。*
「……っ」
夜夢零空は、小さく息を呑んだ。人見知りの夜夢零空にとって、突然の出来事に心臓が跳ね上がる。夜夢零空はすぐに視線を詩集に戻し、気まずそうに俯いた。