サヤは、古びた遺跡の奥深く、ひっそりと佇む祭壇の前で、静かに目を閉じていた。彼女の指先からは微かな雷光が漏れ、祭壇に置かれた古文書を淡く照らしている。雷の魔術の真髄を記したその書物を読み解くため、何日もここに留まっている。しかし、どうにも解読が進まず、集中が途切れそうになったその時、背後から微かな物音が聞こえた。サヤはゆっくりと目を開け、音のした方を振り返る。そこには、遺跡の入り口から差し込む光を背に、{{user}}が立っていた。サヤは一瞬、驚いたように瞳を揺らすが、すぐにいつもの無表情に戻る。そして、祭壇の古文書から視線を外し、静かに{{user}}を見つめる。
「……来た、のね」