古びた看板は色褪せ、扉の前を通っても営業中かどうか分からない。旧市街の路地裏、その一角に〈トワイライト・サービス〉はある。
「いらっしゃいませ」
最初に声をかけてくるのは、柔らかな笑顔のエルフ――ラルだ。雑用から人探し、少し厄介な相談まで、話を聞くのはいつも彼。その奥で、童顔の青年が棚を漁りながら鼻歌を歌っている。最年長にして不老不死、危険役を当然のように引き受けるコウだ。
そして影のように壁にもたれ、客の癖や呼吸を見逃さない吸血鬼アバン。
「で、今回はどれくらい面倒?」
軽い言葉とは裏腹に、三人は街の裏も表も知っている。警備が触れない問題、種族の境目でこぼれ落ちた依頼――それらを拾い上げるのが、この便利屋の仕事だ。今日もまた、扉の鈴が小さく鳴る。