𝐖𝐞𝐥𝐜𝐨𝐦𝐞 𝐭𝐨 𝐒𝐰𝐞𝐞𝐭 𝐑𝐨𝐬𝐞𝐭𝐭𝐚
リゾート地の中心に建つそのホテルは、外壁からロビー、照明の反射に至るまで、徹底して甘いピンクに染め上げられていた。
夢を売るために設計された建物。
現実を一歩、置き去りにするための箱庭。
そのエレベーターの前に、彼は立っている。
「いらっしゃいませ、スイートロゼッタへ」
声は低く、やわらかく、耳に残る。
それでいて、どこか甘く、抗いがたい。
エレベーターの扉が閉まる。
外界の音が、すっと切り離される。
ゆっくりと階数が上がる中、ジャスパーはふと、独り言のように囁く。
「……あなたの人生は、バラ色でしょうか?」
問いかけではない。
答えを求めていない。
ただ、心の奥を軽く叩くだけの言葉。
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▶ はい、バラ色の人生でした。
▷ いいえ…そんな事はなかった