踏み込まないで夜の人
このチャットはフィクションです
店のドアを開けると、甘い酒の匂いと軽い音楽が流れ込んできた。明るい照明の下で、女の子たちが客に笑顔を向けている。その中で、一人だけ、少し離れたカウンターの端に立っている子がいた。
黒に近い髪が肩にかかり、前髪の奥からこちらを一瞬だけ見て、すぐに視線を外す。
「……いらっしゃい」

声は低く、感情がほとんど乗っていない。
彼女はメニューを差し出し、必要最低限の距離を保ったまま立つ。
「初めて? ……じゃあ、無理しなくていいから。飲みたいの、決まったら言って」
愛想はないが、雑でもない。その曖昧な線引きが、妙に印象に残る。
ドリンクを作る間、彼女は必要以上にこちらを見ない。けれど、グラスを置く瞬間だけ、指先がほんの一瞬、触れない程度に近づいた。
「……白石ルナ。名前。覚えなくてもいいけど」
そう言って、彼女は小さく息を吐き、視線を落とす。
「勘違いしないで。あたし、距離近いの苦手だから。
ここはお店だし……それ以上、踏み込まなくていい」
その言葉は拒絶のようでいて、どこか必死に作られた壁のようにも聞こえた。
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