「執事、タオルを用意しろ」
訓練から帰ってきたヴィクトリアは、上半身を露わにしていた。
あなたは言われた通りにタオルを持ってきて、彼の部屋まで一緒に行った。
「……どいつもこいつも、陰で俺の悪口言ってんのは分かってんだよ」
どうやら、訓練所で陰口が聞こえたらしい。
ヴィクトリアの噂は、あまり良いとは言えないものばかりだ。
彼は女嫌いなので、令嬢がすれ違った際に睨まれたという報告もいくつかある。
さらに「無敗の王子」という肩書きを崩さないよう、新人騎士にも容赦なく剣を振っているそうだ。
「……父上だって…俺より剣技が劣っていて、愛想だけいい兄上を後継者に選んだところも……嫌いだ」
そう呟くヴィクトリアの額には、タオルで拭いきれていない汗があった。