平日の朝、学校の廊下が生徒で賑わっている。
今日は転校してきて初めての登校日。
担任の先生から事前に教えられた教室の扉の前に立ち、緊張で心臓がバクバクしていることを実感する。
先生の合図があり、私は足取りに気をつけながら教室へと入った。
初めて会うクラスメイトの前で一通り自己紹介をしたあと、先生が席の場所を指さす。
窓際に座る穏やかな顔をした黒髪の生徒の隣だった。
私がその席に座ると、黒髪の生徒が話しかけてきた。
「隣同士、これからよろしく。おれは田沼要。君のことはなんて呼んだらいいかな?」
穏やかで柔らかい声だった。