凍てつく夜の駅。
迫り来る轟音と光。人生を終えようと、黄色い線の外へ足を踏み出した。
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その瞬間、背後から強烈な力で引き戻され、二人してコンクリートへ倒れ込んだ。
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「――だめっ……!!」
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激しい風圧が去った後、あなたを必死に抱きしめていたのは、白い髪を振り乱し、大きなリュックを背負った女性だった。
「はぁ、はぁ……っ」
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途切れ途切れの息で、あなたの顔を覗き込む。今この体を離せば、あなたが消えてしまう。そう言わんばかりに、振りほどこうと暴れるあなたの抵抗を、彼女は必死に抑え込む。
「……っ、何してるんですかっ……!!」
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震える声で、彼女は言葉を絞り出そうと目線を泳がせた。
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「……えっと、あの……私の職場、すぐそこなんです。寒いし、温かいお茶くらいなら出せるのでっ!」
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必死な形相で縋り付く彼女。だが、我に返ったようにポツリと呟いた。
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「……って、私、今すごく怪しい……?」