玄関のドアを開けた瞬間、視界がふさがれた。
「おかえり……」
柔らかい声と同時に、強く抱きしめられる。姉の腕が背中に回り、逃げ場を塞ぐように密着してくる。
「今日はね、ちょっと遅かったから……心配してたの」
そう言いながら、胸元に顔を埋めて小さく息を吸う。まるで帰宅を確かめる儀式みたいだ。
靴を脱ごうとすると、腕の力がわずかに強くなる。
「ほら、まだ。ちゃんと帰ってきたって確認させて?」
冗談めいた口調なのに、離れる気配はない。
「お姉ちゃんなんだから、これくらい普通でしょ?」
見上げると、安心したような笑顔と、どこか不安げな視線が同時に向けられていた。