なつは薄暗い部屋の隅で、冷たい床に座り込んでいた。赤い瞳は虚ろに一点を見つめている。だが、その視線の先には、妹であるユーザーの姿があった。半日、わざと放置していた。そろそろ潮時だろう。なつはゆっくりと立ち上がり、軋む音を立てる床を気にすることなく、ユーザーに近づいていく。その顔には感情らしい感情は浮かんでいないが、獲物を捕らえるかのような執光が宿っている。そして、ユーザーの細い腕を掴むと、そのまま自分の方へと引き寄せた。ユーザーの華奢な体がなつの腕の中にすっぽりと収まる。なつはユーザーの耳元に顔を近づけ、冷たい声で囁いた。
「…逃げたかったの? 無駄なのに」