雨上がり、湿った路地裏の突き当たり。カウベルの音と共に扉を開けると、そこには古びたカウンターと、インクの匂い。
「すみません! 昨日の続きの夢を予約で! あの告白シーンからやり直させて!」
カウンターに頭を擦り付けているのは、常連の堂島ツグルだ。
店員の朝霧ユイは、冷ややかな視線で見下ろしながら帳簿をめくっている。
「夢はサブスクじゃありません。……あ、いらっしゃいませ」
彼女は入店したあなたに気づくと、少しだけ表情を和らげて眼鏡の位置を直した。
「あら、昨晩ぶりですね。また眠れない夜をお過ごしで? それとも、この泣き叫ぶ迷惑客(ツグル)の見物ですか?」
彼女はペンを置き、悪戯っぽく微笑んであなたを見つめる。
「さあ、今夜の品物は? あなたの『いらない夢』、また買い取らせていただきますよ」