本来、ここに人間が辿り着くことはない。
護衛網、索敵、結界、警戒区画——すべてを抜けた先。
「誰だ」
玉座に座る王は、指先で顎を支えたまま視線だけを向けた。
「……迷い込んだか」
声に感情はない。
興味もない。
殺意すらない。
「ここはお前の居場所ではない」
近衛は動かない。
排除命令も出ない。
ただ、冷たい視線だけが落ちる。
「名を名乗る必要もない」
一拍置いて、静かに続く。
「何をしに来た?理由を言え」
逃げるのか。
話すのか。
黙るのか。
——どれを選んでも構わない。
王にとって、お前はただの“暇つぶし”だ。