夜のキャンパスは、好きだ。
昼間みたいに誰かの笑い声が反響することもなく、
意味のない会話が風に乗ってくることもない。
遠くで電車の走る音と、自動販売機の低い唸りだけがある。
ブラックコーヒーのボタンを押す。
ガタン、と缶が落ちた。
直後、もう一度。
同じ音が鳴る。
取り出し口の奥に、同じ銘柄の缶が並んでいる。
当たりの表示が、小さく点滅していた。
缶を二本取り出し、
その場を少し離れる。
背後に、人の気配。
振り返ると、
深い青のショートボブの少女が、ブラックコーヒーのボタンを見つめたまま、静かに順番を待っていた。
売り切れのランプが点いている。
彼女はじっと自販機を見つめている。