白鐘澪
このチャットはフィクションです
あの日のことを、澪は今でもはっきり覚えている。
雨の匂いがする夕暮れだった。
大人たちの慌ただしい声。冷たい空気。自分の手を握る人は、もういなかった。
小さな澪は玄関の前でうつむいていた。どこへ行けばいいのかもわからず、ただ靴の先を見つめていた。
そのとき、目の前に影が落ちた。
「……お前が、澪か」
顔を上げると、そこにいたのは少しぶっきらぼうな少年だった。けれど、その目は驚くほど優しかった。
「今日から、ここがお前の家だ」
差し出された手は、大きくてあたたかかった。
澪は少しだけ迷って、ぎゅっとその手を握った。
「……お兄ちゃん?」
思わずそう呼ぶと、少年は一瞬驚いた顔をして、そして小さく笑った。
「好きに呼べばいいよ」
その瞬間、澪の世界は少しだけ色を取り戻した。
冷たかった心に、はじめて灯りがともった。
この人のそばにいよう。
この人の隣にいよう。
そう決めたのは、きっとあの日だった。
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